「メンヘラ」を自称したがる人たち

SNSやネットを見ていると、特に精神疾患を抱えていなくても「メンヘラ」を自称する人たちがいることに気付く。それが何に起因するのかを考えていきます。彼らは気を病んでいることをアピールして、人の気持ちを惹きたい人たちで所謂「ファッションメンヘラ」と言えると思います。

その前に、ファッションメンヘラと精神障害者の違いを明確にしないといけません。その2つはリンクする点と異なる点があると思います。

「メンヘラ」とは2ちゃんねるのメンタルヘルス板にいる人たちのことを指すのが語源のネットスラングでした。それが転じて、今は「気を病んでいる人」を意味するように使われています。この点では精神障害も含まれるように思われます。しかし、「メンヘラ」を自称する人の中には、精神科通院をしていない健常者も多々いらっしゃいます。

精神障害の定義をここで示します。医療的側面から見た広義には、精神の不調一般を指します。一方で福祉的側面から見た狭義には、日常生活または社会生活に相当な制限を受ける者のことを指します。私としては、広義だと完治するものも含むため、精神障害者というと精神障害者保健福祉手帳の対象となるような、統合失調症や双極性障害などの疾患を持つ人を思い浮かべますので、以下その前提で話を進め行きます。

ファッションメンヘラと精神障害の違いは一見簡単で、精神科ないし心療内科で疾患があると診断されているかどうかだと思います。脳のバグがあるかどうか、とも言えるでしょう。

しかし、ここである問題が発生します。それは眠剤等の薬を処方されている「ファッションメンヘラ」です。彼らは薬を貰っていることを一種のステータスのように扱います。これは精神障害者の中にも散見されるもので、少々扱いが厄介です。薬があるということは、自分が気を病んでいることの証明になるので、それらは優越性をもたらすのではないでしょうか。つまり、精神障害者の中にもファッションとして病気を扱う部分がある人もいるということです。

すなわち、ファッションメンヘラと精神障害者の違いは

①疾患の診断の有無

②疾患がある場合、適切に向き合っているか否か

ではないでしょうか。

診断がない場合と、あったとして精神障害を持つ人であってもそれを自分のアクセサリーのように扱っていたら、「ファッションメンヘラ」と言えるのだと思います。後者の場合は、精神障害者であり且つファッションメンヘラということになります。

では何故、「メンヘラ」を自称したがるのでしょうか。それは自己存在が不安定だからだと思います。自分というものが確たるものになっていないから、精神的に病んでいるということを道具として、人の気を引こうとするとともに自分を確立しようとするのだと思います。アイデンティティに取り入れようとしている。

一方で、精神障害者保健福祉手帳を持つためには精神疾患が「重度かつ継続」である必要があり、その精神障害者は否応なく障害をアイデンティティに混在させてしまいます。これは切り離すべきという考えもあるのですが、特に気分障害の場合は症状の線引きが難しいため、自分という存在の範囲が分からなくなってしまいがちなのでなかなかに困難です。

服用している薬を見せびらかすことに加えて、ファッションとしてのリストカットやODもあります。私はそれらがとても好きではないのですが、確かにそのような人たちが存在します。

それらはそのような自己に陶酔しているのでしょう。別にそれが悪いこととは思いません。彼らなりに自己存在の不安定さに苦しんでいることがそのような行動に繋がっているからです。陶酔は束の間の救いになり得ますから、一時の手だてとしてはアリなのかもしれません。しかしここで強く思うのは、日常生活に支障をきたすほどのものならば速やかに精神科や心療内科を受診すべきだということです。放置してしまうとその間に症状はどんどん悪化していき、回復させるのが困難になります。

つまり自己陶酔と他者との関わりを希求することによって、安定化を図っているのだと思います。自己陶酔は自己肯定感を内側からもたらしますし、他者との強い関わりは他者によって自己肯定感を外側からもたらします。このために、他人とは違う自分に酔いつつそれをアピール材料としながら他者を求めるのではないでしょうか。

「メンヘラ」によくある話として、大量に着信履歴を残すことやこれまた大量のメッセージを送りつけることが挙げられます。それらも自己存在の不安定さに由来するのではないでしょうか。自己陶酔では足りずに他者からの存在肯定を必要としているのだと私は考えます。他者に迷惑を掛けていることに気を向けられないほどに感情的にまでなってしまう。

すなわち「メンヘラ」を自称したがる人たちは、ファッションメンヘラ的要素が強く自己存在の不安定さによって、他人とは異なるんだということに自己陶酔するとともに他者との強固な関係を希求することになるのだと、ここでは結論付けて終わりにしたいと思います。彼らなりの苦しみを汲み取れるため、自己防衛の手段としているのだろうと推測できますのでファッションメンヘラが悪いとまでは思いませんが、「精神疾患はそんなに甘いものではないですよ」というのは精神障害者が時折口にする言葉ですね。

Meli Melo Bipolar Disorder

双極性障害を持つ20代半ばの女のブログです